2018年
2018年12月 第177回さわやかネット句会 作品 特選句短評  
2018年11月 第176回さわやかネット句会 作品 特選句短評  
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2018年9月 第174回さわやかネット句会 作品 特選句短評  
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2018年7月 第172回さわやかネット句会 作品 特選句短評  
2018年6月 第171回さわやかネット句会 作品 特選句短評  
2018年5月 第170回さわやかネット句会 作品 特選句短評  
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2018年3月 第168回さわやかネット句会 作品 特選句短評  
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2018年1月 第166回さわやかネット句会 作品 特選句短評  
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第177回さわやかネット句会  (2018年12月)                  参加者:17名

 
 

■ 作 品

冬の海暮れて潮なりばかりなり     真野愚雪 ← 最高点句 

特段の福は無けれど年の暮れ      名瀬庵雲水
数え日や病める女房も年女        菊地 智
片付けの本読み返す年の暮れ      川瀬峙埜
冬至湯やひび割れた手にあすをみる   飯塚武岳
独り身の師走求めて街に出る       志摩光月
雪催がんじがらめの荷の届く        岡田克子
新年や日に一句はと誓い立て       野路風露
積年の恨み煮込んで鮟鱇鍋        境木権太
子規の家すきま風までおほらかに    たま四不像
誰かにとこしらえ並ぶ年の暮れ      森かつら
歌留多とり重なりし手を慌て引く      千草雨音
街路樹に清燦燦と聖夜の灯        ただの凡庸
篝火の点火を待つや年籠         舞岡柏葉
鰤おこし来たれと祈る能登の衆      翁山歩存
サイレンの音響く街年の暮         浅木純生
富士を背に帰郷ラッシュの年の暮れ   石  敬


第177回インターネット句会特選句短評  

岡田克子選
     
特選  
新年や日に一句はと誓い立て
(野路風露)
一年の計は元旦ありですね。ご立派な心構えなので、特選にしました。

特段の福は無けれど年の暮(名瀬庵雲水)
素直な句。それが幸せなんですと思います。

出初式はしごの上の宇宙なり(森かつら)
視点が良かった。伝統のはしご乗り。このままでも良いが。
「はしごの上は」又は「はしごの上に宇宙かな」

更く母のギターを爪弾けば(真野愚雪)
お母さまの形見のギターと読みました。寒い夜はお母さまが恋しくて。上五から下五そしてまた上五へと回帰法になっています。もし亡くなっている母なら「妣(はは)」と。

街を背に畑耕す年の暮(志摩光月)
農業に従事の人たちは、街がクリスマスだバーゲンだ買出しだと賑わっていても、淡々と畑を耕す。「街を背に」に地に足のついた安定感のある暮らしが伺われた。

今月の一言
明けましておめでとうございます
良いお年をお迎のことと存じます。

 皆さまとお知り合いになってそろそろ一年となります、なんと早い事です。俳句は座の文学言います。皆さまと膝をまじえて新鮮な一年でした。
過去三年間、申年、酉年、戌年と桃太郎の家来分でした。
今年は亥年なので猪突猛進です。何かに向かって猪突猛進したいものす。

今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

 

人混みを抜けて見上ぐる凍てし雲(川瀬峙埜)                 
(たま四不像)地にある「人込み」をやっと抜けて、やれやれと天を見れば「凍てし雲」、天地のその対比がいいと思いました。平凡といえば平凡な句と思いつつも、「平凡ですが何か?」と自分に一人ボケツッコミしたくなるような句です(笑)。まり俳句のために作られた俳句ではなく、日常のなかでよく遭遇する平凡な体験を、実感がこもる実体験的表現で作った句だからなのかもしれません。

冬至湯やひび割れた手に明日をみる(飯塚武岳)                 
(ただの凡庸)温泉に入りひび割れた手を見ていると、色々なことを考えてしまった作者の思いが伝わってくる。

片付けの本読み返す年の暮れ(川瀬峙埜)
(境木権太)年末に不要な本は処分しようと、書棚を整理していたが、つい手を止めて懐かしい本を読みふけってしまった。一向に片付けが進まず、台所仕事が忙しい細君から小言を言われている年末情景を想像さる。
(石  敬)あの頃のあの本がまた手に戻ってきて、開くとまたあの時を思い出しながら途中から読みだしてしまって、片付けがちっともはかどらない、そんな様子が目に映ります。
(野路風露)よくわかります。途中で片付けがそっちのけになります。
 
冬の海暮れて潮鳴りばかりなり(真野愚雪)
(名瀬庵雲水)人や物の気配の無い冬の寒々とした海、夕暮れに遠くから響き渡ってくる潮の音だけが、耳に届いている状況を淡々と詠んだ秀句。
(舞岡柏葉)荒寥とした冬の海岸の様子がうまく表現されていると思います。

商用と蕎麦は食うべし年の果て(真野愚雪)
(菊池 智)早食いの代表麺類ですが、せめて年の瀬位ゆったりと一年を想いだしながら食べたいものです。

誰かにとこしらえ並ぶ年の暮れ(森かつら)             
(翁山歩存)具体的な事柄を述べるのではないが年の暮のあわただしをうまい表現で表していると思う。

特段の福は無けれど年の暮れ (名瀬庵雲水)
(浅木純生)何事も無く平穏な日常が幸せだというのは平凡な人生感だが、案外そうでもなくとんでもないことを考えていることがある。しかし、現実はやっぱりそうはいかないのだ。
(飯塚武岳)一年を振りかえってみると特別なこともなかったが平穏無事に過ごすことができた。
当たり前の日々がどんなに幸福であることか。
(森かつら)同感です。今年は福が来ますように!

寒夜更く母のギターを爪弾けば(真野愚雪)
(千草雨音)お母さまもなさっていたギターを爪弾いきながら偲んでおられるのでしょうか?しみじみ
とした静かな時の流れが感じられる素敵な句だと思います。

従容と蕎麦は食うべし年の果(真野愚雪)
(川瀬峙埜)私は浅学で「従容」という言葉を知りませんでした調べてみると「ゆったりと落ち着いているさま」との事で作者の意図が理解できました。「年の果 」は単なる大晦日の意味を超えているようにも思えますこの句のように「蕎麦を食う」ような場面においても「従容」と 生きて行きたいと共感します  

爆音がかき消して行く除夜の鐘 (飯塚武岳))
 (志摩光月) 30年程前には、家で除夜の鐘を聞くことがでしました。 歩いて20分程に有るお寺の鐘が聞こえ、年越しをしみじみと感じました。 住宅街まで車の音が入って来て、情緒のある音は無くなりました。
紅き頬かぶり地蔵のたなごころ(名瀬庵雲水)
(真野愚雪)街道のはずれか 寺のどこかにひそやかに立つ紅い頭巾を被った地蔵、 寒々とした冬景色の中にとらえられた 小さな癒しの空間に惹かれます。ただ 地蔵の掌は見えないはずなので、この言葉は何を表そうとしているのでしょうか・・・。

            




第176回さわやかネット句会  (2018年11月)                  参加者:15名

 
 

■ 作 品

呟きは六腑に落し大根汁        名瀬庵雲水  ← 最高点句

日向ぼこ人の死因を読んでをり    岡田克子
冬ぬくしどっさり届く母の愛        森かつら
野良猫も優しい寝顔日向ぼこ     小正日向
屈託の吾を嗤うて石蕗の花      真野愚雪
冴ゆる夜靴音鋭利闇を切る      ただの凡庸
しなの字の五穀豊穣案山子揚げ   飯塚武岳
書を閉じて思い巡らす石蕗の花    境木権太
配信の心に疼(うづ)冬北斗       舞岡柏葉
侘助や無心になれずする写経     千草雨音
障子をば抜け肢光の清しかな     石  敬
知柄義の里のたぬきや落葉舞う    野路風露
信じると誓いし我は梧桐の実      志摩光月
一浪の孫を信じて春を待つ       菊地 智
アイボ犬愛撫の細目炬燵かな     翁山歩存


第176回インターネット句会特選句短評  

岡田克子選
     
 特選  野良猫も優しい寝顔日向ぼこ 小正日向
「も」を使う時は何かと対象が必要です。この句の場合は「野良猫」だけで対象が書いてないが「「野良猫」とあれば「飼い猫」を対象にしている事が想像出来る。
野良猫は不安定のため身体的に厳しさが漂っている。日向ぼっこの暖かさにくるまれて、幸せにそうな寝顔にほっとしている。
ちなみに25番の「山号も寺号も」の句は分かりやすい。

日短し歳時記広げ悩みおり   ただの凡庸
何を悩んでいるのか一目瞭然。今度こそ名句をと思いながら、月日は流れて行きます。季語が効いてる。 俳句は実に奥がふかいそれ故に魅了させられる。

窓越しの揺れる紅葉や日曜日  志摩光月
平日は何かと忙しくゆっくりしている暇もなかったが、日曜日の朝コーヒーを飲みながら窓越しの庭に目をやれば、紅葉の美しさに気がついた景。

冬ぬくしどっさり届く母の愛      森かつら
「母の愛」で作者のいくつかの好物が宅配便で届いた。
お母さまの愛情は海よりも深い。「どっさり」が良かった。

信楽の里のたぬきや落葉舞う  野路風露
滋賀県の信楽産のたぬきさん全国に散らばって、宿屋やお蕎麦屋の店頭に落葉をまとっている景が浮びました。「舞う落葉」に。

今月の一言

お悔やみの句を詠む
正岡子規の訃報をロンドンで聞いて
      筒袖や秋の柩にしたがわず      夏目漱石
      手向くべき線香もなくて暮の秋    夏目漱石
避けたいのは、死、泣く、悲哀、葬儀に関する言葉
避けたいのは、故人の氏名は使わない
良いのは、風景や動植物などに託して
良いのは、注意深く思いを詠む             引用

 

柿落葉机に運び思う里(小正日向) 
(ただの凡庸)柿落葉を机に置いて故郷を思う。しっとりとした良い句だと思いました。

平成の終り信濃に雪遅し(舞岡柏葉) 
(千草雨音)今しか詠むことができない現象を、「信」を入れて、ぴたりと17文字で詠み上げられたことに感服いたします。 

障子をば抜けし光の清しかな(石  敬)
(名瀬庵雲水) 障子から抜け出た澄んで美しい光は、畳が受け止め、障子の手前にはガラス戸から射し込んだ光があるのではと、想像させる一句です。

 呟きは六腑に落し大根汁 (名瀬庵水))                   
(翁山歩存) 自分の気持ちを大根汁という食べ物にあわせて“六腑に落し”の表現が面白い。
(森かつら)季語の使い方が良い、いやなことは大根汁で六腑へ、ほっと暖かくなるいい句です。

積読に春樹と沙翁冬夜かな(岡田克子)
(飯塚武岳) 読む機会を逸して積み重なっている本の中に村上春樹とシェークスピアの本がある。そのうち読まねばとは思うのだがなかなか手が伸びない。きっと誰にも覚えがあるのではと思う

日向ぼこ人の死因を読んでをり(岡田克子)
(境木権太) 寒くなると新聞に知名な人の訃報が増えてきます。日向ぼこしながら死因を読み、その人の業績などに思いを馳せる様子がしみじみと胸に迫ってきます。
(真野愚雪)「ひと」は他人の不幸を詳しく知りたいのです。自分を含めた「ひと」の リアルでブラックな在り様が 淡々と詠まれています。

信じると誓いし我は梧桐の実(志摩光月)
(菊地 智) 己を信じることは中々できませんが、こつこつと努力をしてれば何時か実を結ぶ時がきっと来るでしょう。

信濃路の五穀豊穣案山子揚げ(飯塚武岳)
(小正日向) 五穀豊穣と案山子揚げがよくマッチしていて明るい笑い声が聞こえるようです。

屈託の吾を嗤いて石蕗の花(真野愚雪)
(舞岡柏葉) 「嗤う」ということば遣いから石蕗の花に癒された句ではなく、石蕗の花に心を見透かされて自嘲している句と思いました。中七の「嗤いて」を「嗤うや」にした方が納まりがよいのでは・・・。

冬ぬくしどっさり届く母の愛 (森かつら)
(石  敬) 「どっさり」が効いてますね。ぬくし、母の愛で、全体が温かく包まれたいい句ですね。白髪の高齢者も、その母親から見ればいつまでも子供なんですね。いっぱい田舎から届くのでしょう。
(志摩光月)故郷にお住まいのお母さまの顔が浮かびます。

冴ゆる夜靴音営利闇を切る(ただの凡庸) 
(野路風露)靴の音から足の長い素敵な女性が目に浮かびます。闇を切るがいい。


  


第175回さわやかネット句会  (2018年10月)                  参加者:16名

 
 

■ 作 品

病室にゆるい方言茸めし             千草 雨音     ← 最高点句

遊ぶ声急に消えてく秋の暮           小正 日向
晩年は赤く弾けむ檀の実            真野 愚雪
朝寒し通勤靴の音乾く              ただの凡庸
目を凝らし凝らして霧の国ざかい        たま四不像
恒例の三本締めや一の酉            舞岡 柏葉
田仕舞のけぶり片して締めとせり         名瀬庵雲水
落城の残る血汐や蔦紅葉            境木 権太
平成の締めに一杯今年酒             森 かつら
秋雨に鈍色の海見えぬ佐渡           川瀬 峙埜
村歌舞伎大見得切って締め括り         飯塚 武岳
天高し墓石に映る富士の嶺            志摩 光月
図書館の指名写真や秋深む           岡田 克子
十三夜テラ(地球)より離る炎星(和 火星)  菊地 智
運動会綱引く子等の口への字          翁山 歩存
おちびさんハチマキ締めて秋祭り         石  敬

第175回インターネット句会特選句短評  

 岡田克子選

特選 さわやかの締め切り迫りそぞろ寒(ただの凡庸)
次にあすなろ句会の締切りが追ってきます。「そぞろ寒」が言い当てていて愉快です。

村歌舞伎大見得切って締め括り(飯塚武岳)
村歌舞伎なので顔見しりの人が役者を演じ大見得を切る 、観客の歓声が暫くは続いたのではと。景が浮びました。

落城の残る血汐や蔦紅葉(境木権太)
攻め落とせれた城には、刀疵や銃の痕跡等も。城は軍事施設。「蔦紅葉」が効いています。

平成の締めに一杯今年酒(森かつら)
アト数ヵ月弱で平成が終わります。平成が終わるのを言い訳に新酒を頂く。いつの日か平成遠くなりのけり。

天高し墓石に映る富士の嶺(志摩光月)
つるつるに研磨された黒色の墓石。嶺が映っているので富士のすそ野の墓石ではなく、高台にある墓石だとわかる。

 今月の一言
俳句は十七音(字)、いいたい事は潔くか嫌々ながら 、どちらかにして捨てなければならない。言いたい事にこだわっていては俳句にならないからです 。 こだわりを捨てることが俳句にとって大事です。
俳句とは余計な言葉を捨てて残った最小限の言葉を最大限に生かすか、あるいは一つの言葉を生かすためにそれ以外の言葉を捨てることです。     
   

 

旅先の「地めい」名無村(ななむら)秋深し(たま四不像)
(ただの凡庸)名無村でけんさくしたところ群馬県にありました。与謝野蕪村を意識して村の名前を使ったと思います。この村を知っているだけで俳句に関する知識の深さを痛感いたしました。

雨に鈍色の海見えぬ佐渡(川瀬峙埜)
(翁山歩存)鈍色という表現が日本海の暗い雰囲気をよく表していると思う。

遊ぶ声急に消えてく秋の暮(小正日向)
(名瀬庵雲水)「 秋の日は釣瓶落し 」と言いますが、外で子等が遊んでいても、急にあたりが暗くなり、1人減り、2人減りして、声が聞こえなくなった状況。秋の暮は、@ 秋の夕暮れ A 秋の末、晩秋 のことですが、この句は、晩秋の夕暮れと受け止めました。「 遊ぶ声 」 を 「 遊び声 」にしたらとも思いました。
(境木権太)公園に遊ぶ子の甲高い声が急に消えて静かになったつるべ落としの秋の夕暮れの情況がさらりと読まれています。
(石 敬)遠い昔のあの子供時代の秋の夕暮れを夕焼けとともに懐かしく思い出させてくれますね
(志摩光月)秋、釣瓶落としの様に急に闇が迫ってくる様子が、子供の遊び声を通して良く表現されていると思います。
(境木権太)公園に遊ぶ子の甲高い声が急に消えて静かになったつるべ落としの秋の夕暮れの情景がさらりと詠まれています。

朝寒し通勤靴の音乾く(ただの凡庸)
(森かつら)朝の寒さを靴音で感じる、いい句です。
(千草雨音)何気ない日常の一瞬を、下5の音乾くで、その朝のキーンとした寒さと、通勤靴の音の響きが伝わってきます。

図書館の氏名写真や秋深む(岡田克子)
(舞岡柏葉)いつも利用している図書館に最新の手配写真が貼ってあります。図書館と氏名写真の取り合わせが面白いと思います。

病室にゆるい表現茸飯(千草雨音)
(たま四不像)「ゆるい方言」という表現からさまざまなことを想像させられました。方言を話した病室のかたは故郷のおいしい茸めしを思い出したのでしょうか。「茸めし」になつかしさとうれしさがあったのだろうと思うなかで、「病室」という言葉に病人の悲しさとはまた違う一種のやるせなさと切なさを感じさせれる名句と思いました。
(小正日向) 田舎からお見舞いの方が見えたのでしょうか 病状も良い方に向かっているよ:うで、お見舞いの 茸めしでしょうか、おいしく食べている笑顔が 見えるようです。


平成の締めに一杯今年酒(森かつら)
(飯塚武岳)平成も残り僅か。新酒で平成の世に感謝し、惜しむ気持ちが巧く表現されている。             

目を凝らし凝らして霧の国ざかい(たま四不像)
(川瀬峙埜)「凝らし凝らして」のリフレインが心に響く。「霧の国ざかい」は単なる地図上だけでない問題と想像が拡がる。
(菊地 智)秋の晴れた日や風のないときによく出ますよね!濃い霧の感じがよく出ています。

秋時雨海沿い続く砂防林(川瀬峙埜)
(真野愚雪)垂れこめた鈍色の雲、時雨れる晩秋の日本海、浜沿いに単調に続く砂防林、列車の窓を走り去っていった 遠い日の原風景です。
  

 


第174回さわやかネット句会  (2018年9月)                  参加者:18名

 
 

■ 作 品

犬の尻揺れて旅する草蝨        遊戯好楽   ← 最高点句

鵙啼ひて生飯の一箸取り置きぬ    名瀬庵雲水
射的屋の裸電球そぞろ寒        舞岡柏葉
頼もしき包丁の刃や秋気たつ      たま四不像
的を得た助言にこくり獺祭忌       千草雨音
重箱を二段に重ね村芝居        境木権太
天一掃青染み入りし野分かな      石  敬
鵙猛る標的めがけ急降下        飯塚武岳
雉鳩の鳴く声籠る秋時雨         菊地 智
西日照り質屋の棚のルイビィトン    岡田克子
尼寺に続く坂道萩の花          野路風露
女房の炊きし南瓜や無精髭       志摩光月
風に乗る木犀の香に深呼吸      小正日向
軒端に夕日を映す吊るし柿       ただの凡庸
大和路や畔に紅さす曼珠沙華     翁山歩存
浜焼の海老のしっぽや磯の秋     森かつら
雨去りて宵闇充満たす木犀香     川瀬峙埜
アルバムの母に素敵な秋ありし    真野愚雪


第174回インターネット句会特選句短評  

 岡田克子選

特選  衰へを笑い話におはぎ食む(千草雨音)
「おはぎ食む」がなんとも良かった。何事にもポジティブに生きる事が、幸せなのでは。

     秋うららいつもの店で靴を買ふ(千草雨音)
「秋うらら」で気に入った靴が買えた事がわかる。平明な句で良かった。

     尼寺に続く坂道萩の花(野路風露)
季語が効いていました。「尼寺へ」に。

     的と言う題に呻吟温め酒(菊地 智
それは申し訳なかったです。「温め酒」で、楽しんでいる感じも受け取りました。

     アルバムの母に素敵な秋ありし(真野愚雪)
作者の知らない若き日のお母様の写真。どのような写真なのか想像が膨らみました。アルバムなので複数の写真にお母様の生き生きとした姿をみたのでしょう。

 

     今月の一言
     作句の時
   リズムを優先する
   自分の立ち位置を正確に

  自分らしい句であることを大切にして作句してゆきましょう 。
  最後に推敲をして下さい。
  芭蕉は生涯苦心惨澹して文字通り死ぬまで推敲を続けました。

   「句調はずんば舌頭に千転せよ」  松尾芭蕉

 


たのもしき包丁の刃や秋気たつ(たま四不像)
(境木権太)よく研がれた包丁を頼もしく思いながら手にとって、料理をしようとする意気込みが伝わります。鋭い包丁の刃が秋気に光っています。
 
秋祭り射的を競う父と子と(野路風露)
(石 敬)まだ若いお父さんと元気のいい子供の無邪気な姿浮かぶ、ほのぼのとしたいいくですね。

尼寺に続く坂道萩の花 (野路風露)
(小正日向) 風景が見えてくるようで、この景色にある尼寺に行ってみたくなるような句だと思いました。

犬の尻揺れて旅する草蝨 (遊戯好楽)
(名瀬庵雲水)散歩で 犬の尻に付いた草じらみを、" 旅する " と表現したところが、洒脱だと思いました。犬の尻も藪虱の繁殖の一翼を担っているのかも。( 笑 )
(真野愚雪)散歩の途中の草むらで犬の尻にくっついた草蝨、尻の動きにつれてリズミカルに揺れながら、まだ知らぬ地へと旅を行きます。小さな風景が大きな世界に広がってゆきます。
(川瀬峙埜)ユーモラスですね。野原を駆け回った犬の尻に取り付いて草の種が旅するなんて。

天一掃青染み入りし野分かな (石  敬)
(翁山歩存)台風明の天気の良さがよく表されている。
(舞岡柏葉)上五が力強く、台風以下のさわやかな景がうまく表現されています。

もの置かぬと決めた和室の涼あらた (たま四不像)
(菊地 智)なかなか物を捨てられない自分は、断捨離がうまくゆきません。少しずつやってますがコツを教授願入ればと思います。

鵙啼ひて生飯の一箸取り置きぬ(名瀬庵雲水)
(ただの凡庸)作者の俳句に対する深い素養を感じました。
私の俳句力では、このような句は詠めないと思いました。
(志摩光月)満ち足りた静かな暮らしの一コマが上手に表現されていると感じました。

重箱を二段に重ね村芝居 (境木権太)
(野路風露)懐かしいです 2段に重ねの表現がとてもいいと思いました。

防人は動的が良し芋嵐(名瀬庵雲水)
(たま四不像)意味がわかったようなわからないような・・・。かなり句作りに手慣れているようないないような・・・。ですが、何だか不思議な面白さを感じました。自分にとっては「謎もまたおもしろし」というところでしょうか。それもこれもこの句にリズムというノリの良さがあるから、そして発想のユニークさ、思わず俳諧味みたいなものを感じて「何だかこりゃオモロイ!」とノリで選んでいたかも。つまり声に出して読んでみればこの句自体が「動的」ということかもしれません。誰が作られたのか知るのが楽しみ!

俳諧の中の真実獺祭忌(名瀬庵雲水)
(森かつら)病状六尺、俳諧の真実とは凄い表現、凄い一句。

雨粒は乙女の涙酔芙蓉 (境木権太)
(遊戯好楽)酔芙蓉の花言葉は「心変わり」「繊細な美」「しとやかな恋人」などがあり、
秋のしとふる雨に失恋した清楚な女性の涙を想像したのだろうと思え、きれいな句なので頂きました。

射的屋の裸電球そぞろ寒(舞岡柏葉)
(千草雨音)裸電球の色、景が即、目に浮かびました。季語のそぞろ寒がぴたりと決まっているうまい句だと思いました。

秋の風老母の返事的外れ(遊戯好楽)
(飯塚武岳)衰えていく母への思いと秋風の無常感がうまくマッチしている

 

 

 

第173回さわやかネット句会  (2018年8月)                  参加者:16名

 
 

■ 作 品

校庭の白線薄れ八月尽         舞岡柏葉 ← 最高点句

気儘とふ暮らし戻りぬ八月尽      夏陽きらら
ぺたぺたと歩く赤子の秋暑し      たま四不像
停車場に見送る母や秋の雲      境木権太
しどろ落つ無患子の実の堅さかな   名瀬庵雲水
一筋の雪ひだ残し山開ける       菊地 智
縁台に蚊遣火煙るへぼ将棋       飯塚武岳
探し当てて実朝の墓鵙日和       岡田克子
山の風ブランチに添えオリーブの実  森かつら
火水金星月と並びて虫集く(集く)    翁山歩存
山深し渦巻く霧に入りにけり       真野愚雪
空蝉や夢殻破りて空に舞ひ       ただの凡庸
実朝の歌碑の刻字や秋の海      千草雨音
牛蒡引く老いを隠せぬ庭面かな    志摩光月
かなかなや狭き我が家に里の風    小正日向
ひまわりをロシア旅をし想いしや    石  敬

第173回インターネット句会特選句短評  

 岡田克子選
特選 停車場に見送る母や秋の雲 (境木権太)
遠く離れたお母様を訪ねた帰りに、まだ離れがたいお母様は停車場で見送ってくれた。 
お母様が何時までで元気でいられるのかと…。「秋の雲」に作者の心情が表れていた。

ぺたぺたと歩く赤子の秋暑し (たま四不像)
オムツした丸いお尻のぽっちゃりした赤ちゃんが浮かびました。
素足で歩く音が「ぺたぺた」とで暑さが出ていました。

実直に生きし父あり秋の蝉 (境木権太)
家族を愛し真面目に正直に生きたお父様。「秋の蝉」が効いています。

火木金星月と並びて虫集く (翁山歩存)
天体マニアでなくとも歓喜したのではと。天と地を読詠んでよかった。                            
地球に居る作者には秋の虫が鳴いているのを聞いている。

なまけてもなまけなくても秋暑し (たま四不像)
まさしくこの通りの毎日、不思わず頂きました。
ごちゃごちゃと云ってない事が良かったです。

  今月の一言
季重ねが目立ちます。原則として一句に季語はひとつとして下さい。
確信が無い時は歳時記を活用して下さい。
歳時記は、季節感を表す言葉を集め解説し例句をあげた季語の辞典です。
自然と文化の百科辞典ともいえるものです。
鳴かない動物なのに鳴くという季語も沢山あります。
亀鳴く(春) 蚯蚓鳴く(秋) 歌女鳴く(秋) 蓑虫鳴く(秋) 等

 


気儘とふ暮らし戻りぬ八月尽 (夏陽きらら)
(ただの凡庸)夏休みが終わってしまったという気持ちが出ている。
(境木権太)夏休みに帰省していた子供でしょうか、一緒ににぎやかな日々を過ごした後、 八月の終わりにようやくかえって行ってくれて、元の気儘な暮らし戻った安堵感が良く分かります。
耳鳴の音のもつれる残暑かな (夏陽きらら)
(たま四不像)「耳鳴」と「音のもつれる」で「残暑」と、この季語をもってくるところなど上五と中七の言葉にぴったりで、いかにも俳句らしい俳句と感じられました。発想がウマイ!と思いました。

一筋の雪ひだ残し山明ける (菊地 智)
(翁山歩存)季節は初夏と思われるが雰囲気がよく出ている。

縁台に蚊遣火煙るへぼ将棋 (飯塚武岳)
(小正日向) 気持ちが和むする句で、将棋を指している表情まで見えるようです。

車椅子の母の温もり木の実雨(夏陽きらら)
(千草雨音)車椅子を押しながらそこに母がいてくれるだけで感じられる温もり。
木の実の落ちる音を聞きながら幸せな気持ちが伝わってきます。
(舞岡柏葉)幼少のころ生母と死別しているので、作者の百分の一も母の思い出がありませんので、強い羨望を持ちました。

棒読みの答弁ばかり秋暑し (たま四不像)
(夏陽きらら)国会中継をみては議員の人相の変貌に愕然としたりしてますけど(爽やかなメンのあの人の人相も変わっちゃうのかな?なんて)。この句は、議員たちの厚顔ぶりに季節の暑苦しさもぴったりです。少しとぼけたおかし味もあり、良いなと思いました。

校庭の白線薄れ八月尽 (舞岡柏葉)
(名瀬庵雲水)校庭に訪れた様々な人、動物、生物、雨風などで、踏まれ消され薄れた白線を、八月尽 ( 夏休みの終わりも含め )に繋げた良い句だと思います。
(志摩光月)田舎の小学生時代を思いします。宿題の写生を登校日前日に描きました。
(飯塚武岳)休みで児童のいない学校の様子が「白線薄れ」でうまく表現されている。
(真野愚雪)夏休みも終わる頃の人気のない校庭、雑然と継続する日常生活の背後で
 速やかに進行する季節の移ろい遠い昔への追憶.

なまけてもなまけなくても秋暑し (たま四不像)
(森かつら)今夏の暑さで忘れていたものを思い出させてくれた一句。

探し当てて実朝の墓鵙日和 (岡田克子)
(菊地智)秋の静寂な中に鵙の鋭い声で続けて鳴く様子が目に浮かびます。

山の風ブランチに添えオリーブの実 (森かつら)
(石 敬)お洒落な句です。ブランチとオリーブのカタカナ語が雰囲気を作ってますね。下は猛暑、上では爽やかなハイキング日和だったのでしょうか


 


第172回さわやかネット句会  (2018年7月)                  参加者:17名

 
 

■ 作 品

地が空に溶け石楠花の縦走路      真野愚雪 ←最高点句
梔子の花につぶやく胸の内        千草雨音 ←最高点句

虎の尾の日々太りゆく雨の朝       境木権太
梅雨晴れや塀にズックの二、三足    名瀬庵雲水
五月曇白糸余す木綿針          岡田克子
山笠と男が駆ける博多かな        ただの凡庸
昼顔やネイルアートにときめきて     飯塚武岳
上簇や神の仕事手伝えり         志摩光月
どくだみの博識みせる若庭師       森かつら
初蝉か耳に手を当て立ち止まる      小正日向
傷もまた数多の語り大夏木        たま四不像
白南風(しろはえ)や博多中洲の屋台街 舞岡柏葉
ひらひらと光散らすは夏の蝶        石  敬
清流漕ぐ下から眺む青楓          遊戯好楽
物忘れしても構わぬ茗荷の子       野路風露
相馬燈昔に戻るクラス会           翁山歩存
梅雨明けやキーパー批判蹴り返す    川瀬峙埜


第172回インターネット句会特選句短評  
     岡田克子選 五句

特選  梅雨晴れや塀にズックの二、三足  名瀬庵雲水
     ズックの横には家族分の傘も干してある景が浮ぶ。傘ではなくズックに視点をが良
    かった。

入選  博識の友が眩しくビール飲む    小正日向
     友が偉く思えた日。素直な作品で好感がもてました。下五が効いています。

     どくだみの博識みせる若庭師    森かつら
     若庭師の姿勢が伝わる、植物への愛を感じました。

     レポートの課題果たして竹婦人   志摩光月
     皆様の心境ではと肩の荷をおろしてホット感が出ている。身近な事柄を捉えて良かった。     季語がいい。

     上蔟や神の仕事を手伝えり     志摩光月
      「や」は切れ字ではなく感嘆として読みました。中七、下五の措辞が上手でした。

今月の一言
「俳句は作ることと同じように他人の句を選ぶということも大切である」
                                         正岡子規 引用
下五のおくりかなについて
夏隣り → 「り」は不要  夏隣
袋掛け → 「け」は不要 袋掛
茶漬け → 「け」は不要 茶漬
下五は「名詞」で止めると収まりが良いです。

                                           岡田克子

 


工場の煙ななめに百日紅(岡田克子)
(たま四不像)何気なく見える句ですが、映画の一シーンのような情景が思い浮かびました。
それは黒澤明の映画「天国と地獄」。白黒映画のなかで煙突からの斜めの煙だけが桃色。
さらに自分勝手な想像は膨らみ、これが「百日紅」でなくあの強烈な「夾竹桃」だったら・・・
炎天下、戦争、公害、そして黒澤へのオマージュにとイメージが広がっていきました。

どくだみの博識みせる若庭師(森かつら)
(川瀬峙埜)仕事に対して情熱溢れる若者の、素直な輝きを感じます。
兼題の「 博 」に苦労した自分としては、 「 博 」の収まりの良さも特筆したい所です。

梔子の花につぶやく胸の内(千草雨音)
(ただの凡庸)人に話せない旨の内を梔子の花に向かってつぶやく。「梔子」の使い方が面白い。
(森かつら)花につぶやく胸の内 何とも粋な句、わたしもつぶやいてみようかと・・
(境木権太)梔子の甘い香りに引き寄せられて、どんな胸の内を呟いたのか聞いてみたくなりました。

上蔟や神の仕事を手伝えり(志摩光月)
(飯塚武岳)上族を神の仕事と見立てことに納得するところがありました。

五月曇白糸余す木綿針(岡田克子)
(千草雨音) 「白糸余す木綿針」に日常のさり気ないワンポイントにピントが絞られており、読む者の
想像を掻き立てる、素敵な句だと思います。
(舞岡柏葉) 作者は何か屈託があって針仕事をしていたのでしょうか。女性の繊細な心情がうまく表現されている。
清流漕ぐ下から眺む青楓(遊戯好楽)
(石  敬)陽光まぶしい夏の日、船で谷間を下り、周囲の色彩と動きと涼しさも感じさせてくれるいい句ですね。
昼顔やネイルアートにときめきて(飯塚武岳)
(野路風露)ネイルアートにときめきたいですね。昼顔との組み合わせが素敵です。

 地が空に溶け石楠花の縦走路(真野愚雪)
(名瀬庵雲水)「 縦走路 」と有りますので、登山をされているのでしょうか?
 " 溶け " が効いていると思います。
(志摩光月)大きな風景が見えて良い句と思います。石楠花は春の季語です。

茂る金色の蛇おわすとか(たま四不像)
(遊戯好楽)子供のころ、河原の草むらを一人で歩きながら、何か出てくるかもとドキドキしながら歩いたことを思い出しました。

打ち水や久留米絣の若女将(千草雨音)
(小正日向)若女将の清楚な感じと涼しさが伝わってくる爽やかな句だといただきました。

傷もまた数多の語り大夏木(たま四不像)
(翁山歩存)木に付いている傷が木の歴史を表す様子が上手く描かれている。
虎の尾の日々太り行く雨の朝(境木権太)
(真野愚雪)雨に打たれる虎の尾の花という「今」を点でとらえて大きな時の移ろいという、
「全体」が詠まれました。

 

   

第171回さわやかネット句会  (2018年6月)                  参加者:15名

 
 

■ 作 品

エプロンをはたいて締める梅雨の朝    岡田克子  ←最高点句

寄り添いもせず離れずに立葵       名瀬庵雲水 ←最高点句

峠道風吹き抜けて山法師          境木権太  ←最高点句 

 

麦笛や照れ隠しめく捨て台詞       千草雨音

躑躅にも禅の心や永平寺         志摩光月

水芭蕉眠りを覚ます尾瀬の風       ただの凡庸

砲台の紅き鋼鉄夏の空          森かつら

梅雨冷えや淹れたて珈琲すすり飲む    川瀬峙埜

蓮台に伏し目の釈迦や薄暑光       舞岡柏葉

シュルシュルリ前横切るは蜥蜴殿     石  敬

砲台の崩れしままに雲の峰        飯塚武岳

手を伸ばし届かぬ琵琶に苦笑い      小正日向

紅つつじ緑の枡をこぼれ落つ       真野愚雪

手作りのカモミール茶や夏に入る     翁山歩存

季節の句詠みしが出来は走り梅雨     遊戯好楽


第171回インターネット句会特選句短評  
     岡田克子選 五句

特選 シュルシュルリ前横切る蜥蜴殿(石   敬)
    「シュルシュルリ」のオノマトペが上手です。
    「蜥蜴殿」と詠んだのに俳諧味がありました。

入選 麦笛や照れ隠しめく捨てセリフ台詞(千草雨音)
    どんな捨て台詞を言ったのか想像するのが楽しい作品。
    それも照れ隠しめくのである。「麦笛」なので素朴な言葉ではと思いました。

    灯台の背丈縮める青芒(境木権太)
    灯台が低くなるわけない、青芒が伸びすぎたのだ。中七の措辞が良かった。

    梅雨暗し寝坊の理由見つけたり((川瀬峙埜)
    寝坊して素直に遅刻したとは言えない作者。どんな理由を見付けたのか、愉快な作品。

    手を伸ばし届かぬ枇杷に苦笑い(小正日向)
    届くかと思って手を伸ばしたら届かなかった。
    たぶん自宅の枇杷ではない、他人の枇杷。枇杷も笑っていたのでは。

         今月の一言   MGワードについて

    例えば「梅雨」を詠んだら ? 「雨」「雨降る」はいらない。
    「梅雨」の中に含まれているので避けたいです。
    例えば「海」を詠んだら  ? 「波」「潮風」とか、
    例えば「紫陽花」を詠んだら? 「雨」とか、
    例えば「雷」を詠んだら  ? 「驚く」「驚いた」とか、
    驚いたを使わずに、他の言葉に託す。
    17音なので、なるべく無駄な言葉は避けたいです。
                                  岡田克子

 


躑躅にも禅の心や永平寺(志摩光月)
(ただの凡庸)道元の開創の永平寺、咲いている躑躅までが禅の心を持っているように見える。上手な表現だと
思います。
(舞岡柏葉)永平寺は我が家の宗派の総本山で、一度訪れたいところです。
禅寺の雰囲気がうまく表現されていると思います。

寄り添いもせず離れずに立葵(名瀬庵雲水)
(千草雨音)立葵の咲いている様を詠まれているが、読む者に、それぞれ人間関係を想像させる面白さがある。
(森かつら)高く長く伸びた茎が風に揺れている様子が伝わるいい句です。
砲台の紅き鋼鉄夏の空(森かつら)
(名瀬庵雲水) 鋼の錆を " 紅き " と見たのか? 忌まわしき戦争の惨禍に想いを馳せて“紅き”と捉えたのか?  季語の 「 夏の空 」 にマッチした良い句だと思います。

 烏帽子岩サーファーのせて卯波くる(飯塚武岳)
(遊戯好楽)初夏らしいの風景が脳裏に浮かび選句しました。
峠道風吹き抜けて山法師(境木権太)
(石  敬)風景を感じさせるいい句ですね。天城峠でしょうか。梅雨入り前のひと時、峠を抜けふと仰ぐと、 さわやかな風が汗をぬぐってくれます。

砲台の崩れしままに雲の峰(飯塚武岳)
(境木権太)崩れた砲台と湧き上がる入道雲の力強さの対比が詩情を感じさせます。

灯台の背丈縮める青芒(境木権太)
(飯塚武岳)芒が日増しにグングン伸びていく。
近くにある灯台が相対的に縮まったように感じられる。面白い発見です。

紅つつじ緑の枡をこぼれ落つ(真野愚雪)
(翁山歩存)紅いつつじの花が緑の葉から落ちている状態がうまく表わされていると思う。

水芭蕉眠りを覚ます尾瀬の風(ただの凡庸)
(小正日向)爽やかな初夏の尾瀬を歩いている気持ちになりました。

   
シュルシュルリ前横切る蜥蜴殿(石   敬)
(川瀬峙埜)奇妙なグロテスクな動きを 「蜥蜴殿」とユーモラスに表現されている。

麦笛や照れ隠しめく捨て台詞(千草雨音)
(真野愚雪)親密少し未満の男と女の、微妙に湿った距離感がを好ましく感じられ麦笛という言葉も、 切なく郷愁を誘って、句を清々しいものにしています。

梅冷えや淹れたて珈琲すすり飲む(川瀬峙埜)
(志摩光月)季語が効いている様に思います。

 

   

第170回さわやかネット句会  (2018年5月)                  参加者:13名

 
 

■ 作 品

水面に香り彩る花菖蒲          ただの凡庸  ←最高点句
戻ることなき断層や花の冷え      舞岡柏葉   ←最高点句

時止まる名曲喫茶春の宵        境木権太
亀鳴くや仏間に一人瞑目す       飯塚武岳
狭庭(さにわ)なれ百花繚乱花水木   翁山歩存
相生(あいおい)の福寿を祈り緑摘む  名瀬庵雲水
息をのむ旧家の庭の芝桜        小正日向
重い戸の立入禁止鳥曇          岡田克子
眼つむれば高み風行く森の春      真野愚雪
春光を包みてそよぐ浜の風        石  敬
巻雲の青空高しハナミズキ        遊戯好楽
傘二つ朽ちし曲輪に桃の花       志摩光月
藤棚や椅子は園児のお絵かき場    森かつら


第170回インターネット句会特選句短評  

時止まる名曲喫茶春の宵(境木権太)
(ただの凡庸)若いころ出かけた喫茶店を思い出しました。忙しい今の時代には猛このような
喫茶店は少なくなってしまい、寂しい気がしています。
(森かつら)時止まる名曲、その時を思う気持ちが伝わりました。 
 
亀鳴くや仏間に一人瞑目す(飯塚武岳)
(舞岡柏葉)なかなか使えない難しい季語を「仏間、瞑目」という場所や行動の言葉を使って
うまく雰囲気を伝えていると思います。

水面に香り彩る花菖蒲(ただの凡庸)
(境木権太)花菖蒲のあでやかな花が水面を彩ろところを菖蒲の香りが漂ってくるような詠んだ
ところに感心しました。
    
 断食終へ啜る重湯や春あした(舞岡柏葉)
(名瀬庵雲水)ご自身が体験されたことなのか ? ダイエットが目的で週末断食をされる方もいる 
とか。程ほどにどうぞ!“断食”を行う人は、日本ではごく少数派であり、其処に焦点を当てた点
がよかったと思います。

 若竹や空に突き刺す雨上がり(境木権太)
(遊戯好楽) 雨上がりに竹の子が勢いよく伸びているのを発見した様子がよく出ている。
(志摩光月)根元に筍の皮が残る若竹でしょうか。若竹の緑が目に浮かびます。

逃げ水の嘲笑うごと距離遠く (飯塚武岳)
(小正日向)見通しの良い道を歩いている時によく逃げ水を見ます。追いかけるのですが
追いつきません。逃げ水の様子がよく出ている句だと思います。

手を広げ日輪仰ぐ鉄線花 (境木権太)
(翁山歩存)夏に咲くテッセンの雰囲気がよく描かれている。

目つむれば高み風ゆく森の春(真野愚雪)
(石  敬)17文字の中に、すがすがしい新緑の光景をたっぷりとつめこんでくれた巧い句ですね。

戻ることなき断層や花の冷え(舞岡柏葉)
(真野愚雪)一つにつながっていたものが、いつの間にかずれて離れて行ってしまった。
どうして? 底冷えのする春の午後、想いはさまよい続ける
・・・そのような心象風景が描かれました。
(飯塚武岳)太古の昔から今日までの永い歴史がもの言わぬ断層に刻まれている
世の無常が花冷えの中に感じられる。
(岡田克子)地震とは言ってませんが、わかります。覆水盆に返らずですね。季語がきいてます。

   

第169回さわやかネット句会  (2018年4月)                  参加者:17名

 
 

■ 作 品

風の声乗せて静かに花筏             ただの凡庸  ←最高点句   

岩肌を清める如く磯菜摘む            舞岡柏葉
陽春や仕上げのやすり家具職人         岡田克子
大道芸桜吹雪と歓声と               千草雨音
言の葉を紡ぎし歩むさくら坂            石  敬
ジェラートや花の季節の25度C            遊戯好楽
夜桜の白く浮かびて坂の道            川瀬峙埜
玉響(たまゆら)のたおやかなるは花明かり   たま四不像
東風かろき磯に試食のひものかな        名瀬庵雲水
生き死にの流れ渡すや花筏            真野愚雪
串さしの馬鹿貝干しの女房かな          森かつら
新しいテキスト届く春休み             飯塚武岳
風変わり鶯慌ててケキョと鳴く           小正日向
病癒え今年の花に酔うており           境木権太
老いらくのダンスを習いて猫の恋         志摩光月
しっとりと大地に温き穀雨かな           翁山歩存
坂道の花に招かれ一万歩             野路風露


第169回インターネット句会特選句短評  

玉響(たまゆら)のたおやかなるは花明かり(たま四不像)
(ただの凡庸)春の宵,花明かりに浮かぶ景色、きれいな句だと思います。

ジェラートや花の季節の25度C(遊戯好楽)
(千草雨音)今年の花の満開の日を見事に切り取って詠まれており、新鮮な俳句で、字面もリズムも素晴らしいと思いました。
(飯塚武岳)春とはいえ初夏のような陽気の中でうきうきとした気分とおしゃれな雰囲気が感じられる句です。

陽春や仕上げのやすり家具職人(岡田克子)
(森かつら)職人のやすりに焦点を当てた句。やすりが光を浴びて輝いている様子が感じられる。

朝ざくら用足すだけの犬連れて(川瀬峙埜)
(たま四不像)人間は桜、犬は用足す「だけの」ため、そうそうと共感をよびワハハ面白いなと思い選句しました。

日差し浴ぶ白さ際立つ春障子(前岡柏葉)
(翁山歩存)春になった雰囲気がよくつかみ取られている。

花びらも客に招きて花筵(はなむしろ)(舞岡柏葉)
(川瀬峙埜)一気に咲いた今年の桜。どこもかしこも桜で満ち溢れ心がオープンになりどんな人でも、どんなものでも受け上機嫌で居られるまさに「華やぎ」の季節ですね。
(石  敬)花見の席に舞い落ちる花びらを客に見立てたところは、なかなか巧みですね。

風変わりうぐいす慌てケキョと鳴く(小正日向)
(遊戯好楽)春が来たことを感じる句。鶯もまだ上手に鳴けてないのも早春の雰囲気が伝わる。

子も犬も駆け抜け浴びる花吹雪(ただの凡庸)
(小正日向)子供の喜ぶ声も一緒に聞こえてくるな情景が浮かんできて、その場に居合わせたような気分になりました。

青い月背中丸め花吹雪(遊戯好楽)
(境木権太)澄みきった空に浮かぶ青い月を眺めながら、花吹雪が舞う中を背中を丸めて そぞろ歩く。やや肌寒い春の夜の情景を絵を見るように表現している。
(志摩光月) 寒暖の差が大きく不順な春の訪れを良く表現していると思います。

岩肌を清める如く磯菜摘む(舞岡柏葉) 
(岡田克子)中七に作者の発見が出ていました。

風の声乗せて静かに花筏(ただの凡庸)
(名瀬庵雲水)川面に浮かぶ花弁の集まりが筏となる。散り際の風景か?やや強き風の音を、花筏に乗せると言う表現が素敵ですね。

言の葉を紡ぎて歩くさくら坂(石 敬) 
(野路風露)俳句を作っておられたのでしょうか素敵な言葉に惹かれました。

東風かろき磯に試食のひものかな(名瀬庵雲水)
(真野愚雪)「試食のひものかな」の実生活感が、「東風かろき」の詩情で彩色されて、一枚のさわやかな春の絵があらわれます

 

   

第168回さわやかネット句会  (2018年3月)                  参加者:15名

 
 

■ 作 品

新聞の誤植見つけし春炬燵           飯塚武岳    ←最高点句

空に浮き宙に板舞う冬五輪            ただの凡庸
沈丁花恋は短く世は長く              真野愚雪
パリ不破と仏蘭西麺麭(フランスパン)春兆す  たま四不像
娘(こ)の嫁して飾ることなき雛まつり       舞岡柏葉
お太鼓の浅葱の帯や立子の忌          名瀬庵雲水
床の間にふっくら顔の古りし雛          千草雨音
春立ちて駅のポスター貼り替わる        川瀬峙埜
オルガンのしらべに祈り春の風         翁山歩存
梅の香よ誘い出すかな宮参り          石  敬
菜の花や水平線のきらっきら          志摩光月
蕗の薹味噌が引き出すうまみかな        小正日向
おくれ毛のおさげ髪かな梅日和         森かつら

   
第168回インターネット句会特選句短評  

新聞の誤植見付し春炬燵(飯塚武岳)
(ただの凡庸)日が長くなり春が近づいてきた。春らしいのんびりした雰囲気がよく出ている。
(たま四不像)まずは自分好みの句です。作者の様子が見えてきて、借り物でない臨場感と軽快
なリズムがあります。まったりした時間のなかで、のんびりと春炬燵にあたりながらすみずみ
まで新聞を読んでいたとき「あっ誤植見つけた!」という思いがけずの驚き、そしてなんだか
楽しくなるような気持ち、「よし、一句!」と句にした妙、いいですねえ。春炬燵という季語
がこの句にぴったりだと思いました。
(千草雨音)春とはいえ、まだ寒い日に炬燵に入り新聞を読んでいるゆったりとした流れの中で、
鋭く新聞の誤植を見つけたという対比が生きている。
(名瀬庵雲水)めったにない事と思いますが、風景が見えてきました。その後、新聞 社に
連絡したのでしょうか ? そちらの方が気になります。
(石 敬)ほんのり暖かくなってきた春先の居間で、そろそろ用無しの炬燵に陣取ってじっくり
と新聞を読んでいたら、思いがけず誤植を発見したのですね。ゆったりとした時間の流れも感じ
られるいい句ですね。
(川瀬峙埜)誤植を見つけ出す注意深さと春炬燵のアンニュイな気分のなんともアンバランスな
感覚がユーモアに繋がっていますね

二、三輪枝の先から春の音(ただの凡庸)
(境木権太)枝先が膨らみ春が近づいているのを感じた気持ちを、「春の音」と詠んだところが
新鮮です。

 沈丁花恋は短く世は長く(真野愚雪)
(翁山歩存)長寿社会で人生が長くなっているが、若い時代は短いことを良く表していると思う。

病室に差し込む光春動く(境木権太)
(志摩光月)病みの苦悩、不安と明るい春が印象的に表現されていると感じました。
(飯塚武岳)一人で病室にいると暗い気持ちになりがちだが、明るい春の日差しが希望の光と
なり勇気付けられ生きる力が湧いてきたそんな光景が上手に表てる。

空に浮き宙に板舞う冬五輪)ただの凡庸)
(森かつら)躍動感ある協議をうまく表現しているよい句です。

春立ちて駅のポスター貼り替わる(川瀬峙埜)
(小正日向)どんなポスターになったのでしょうか。想像が膨らみます。

 

   

第167回さわやかネット句会  (2018年2月)                  参加者:16名

 
 

■ 作 品

凍豆腐(しみどうふ)吊られからころ奈良井宿  たま四不像 ← 最高得点
黄水仙庭に色あり命あり        翁山歩存
湖(うみ)渡る風は近江の網代守   舞岡柏葉
折り込みのちらしに聴こゆ春の声   志摩光月
鬼の豆食べて恐ろし豆の数      遊戯好楽
正座して木箱から出す雑煮椀     小正日向
莫山の筆跡習ふ初硯          千草雨音
弾く音火の粉飛びかうドンド焼き    菊地 智
受験生純白マスクの眼輝く(ひかる) ただの凡庸
雪の音か障子の向こうに耳澄ます  石  敬
雪しまき点滅を操る信号機      名瀬庵雲水
成人式背筋伸ばして君のある     飯塚武岳
雪降ると伝えるニュース大騒ぎ    川瀬峙埜
無き父の剣静まりて寒昴        境木権太
巷でも右往左往のちゃんこ鍋     森かつら
寒月や悔いあり凍てし白き路     真野愚雪

   
第167回インターネット句会特選句短評  
 

黄水仙庭に色あり命あり(翁山歩存)
(境木権太)冬枯れの庭に咲いた黄水仙)に目が留まり、「色あり命あり」と詠んだ巧みな表現に感心しました。
(遊戯行楽)寒さ厳しいこの時期に 春の訪れ感じる情景が思い浮かびまた、寒い冬を乗り越えた草花の強さを感じました

外は雪シューベルト聴くティータイム(千草雨音)
(石 敬)たいへんお洒落な句ですね。静かな雪の昼下がり、作者はきっとソファーで「冬の旅」を聴きながら、紅茶を片手に白いシホンケーキを頂いているのでしょう。

凍豆腐(しみどうふ)吊られからころ奈良井宿(たま四不像)
(ただの凡庸)「からころ」という言葉に奈良井宿の寒さがよく表現されていると思う。
(翁山歩存)凍豆腐の様子と奈良井宿の雰囲気がよく出ている。
(名瀬庵雲水)背負子の行商人を詠んだ句なのでしょうか?  なんと風情があり ( 特に奈良井宿がよい ),リズム ( " からころ " ) の良い句なのでしょうか。

湖渡る風は近江の網代守(舞岡柏葉)
(飯塚武岳)篝火を焚き網代をじっと見守る人に琵琶湖を渡る厳冬の風が吹きつける。素朴な美しい景が浮かんできます。
(真野愚雪)文字の並びは姿良く、詠えばリズムは清々しく、目の前に古典的な風雅の世界が広がります。

鬼の豆 食べて恐ろし 豆の数 (遊戯行楽)
(川瀬峙埜)恐ろしいのは気付かないうちに年齢を重ねてしまった事の驚きか?食べきれない位の豆の数が有ることは幸せなか? 悲しむ事か?身につまされます。
(森かつら)豆の使い方も言い、情景が伝わるよい句です。

弾く音火の粉飛びかうドンド焼き(菊地 智))
(小正日向) 炎を上げて燃えている様子が伝わり勢いのある句だと思いました。

受験生純白マスクのマスクの眼輝(ひか)る(ただの凡庸)
(志摩光月)真剣なまなざしが夢を語っている様に見えます。

正座して木箱から出す雑煮椀(小正日向)
(千草雨音)年に一度使われる雑煮椀なのでしょうか?由緒ある蒔絵のお椀を想像して豊かな気持ちのなりました。    

   

第166回さわやかネット句会  (2018年1月)                  参加者:11名

 
 

■ 作 品

しぐるるや猫背連なる停留所       舞岡柏葉      最高得点
真新し足袋三代のお練りかな       名瀬庵雲水
ゆく年や友の残せし句が一つ       飯塚武岳
初春や子供の頬の柔らかさ        浅木純生
新海苔や老舗問屋の老夫婦        千草雨音
お焚上げ幣の煙や常に無き        ただの凡庸
長き柄の鋭く伸びて冬北斗         境木権太
山積みの洗濯横に日なたぼこ       小正日向
友訃報また一人へる賀状書き       翁山歩存
山神(さんじん)や雲海溶かす初日の出  志摩光月
初雪や指を温めし手酌酒          石  敬

   

第166回インターネット句会特選句短評  
 

行く年や友の残せし句が一つ(飯塚武岳)
(ただの凡庸)友とは梵天さんのことでしょうか。ご冥福を祈ります。

真新らし足袋三代のお練りかな(名瀬庵雲水)
(千草雨音)1981年に続き親子3代同時襲名は歌舞伎界でもまれな慶事とか。

饒舌な医師打つワクチン寒の入り (舞岡柏葉)
(小正日向) 診察室での医師とのやりとりが聞こえてくるようで、楽しい句だと思いました。
(浅木純生)おしゃべり好きのお医者さん、威張っている医者よりはいいかな。  冬の日の光景が見えます。

しぐるるや猫背連なる停留所  ( 舞岡柏葉)
(名瀬庵雲水)冬の通り雨。バスを待つ停留所には長い列。高齢者が多いことと、寒さで皆を丸めている状況。自分でも猫背気味であり を「 はっ 」 とさせられました。
(境木権太)過疎のバスの停留所でしょうか。時雨降る寒さの中で、おばあさん達が猫背になってなかなか来ないバスを待っている。 「猫背連なる」が効いています。
(飯塚武岳)寒いしぐれの中でバスを待つ長い列。皆、無言で背を丸めてじっと耐えている様子がうまく表現されている。
(志摩光月)「客観描写」を感じました。

新海苔や老舗問屋の老夫婦 (千草雨音)
(翁山歩存)“新”と“老”の組み合わせがいいと思いました。

白き肌引き立て香る柚子湯かな(千草雨音)
(石 敬)コメント:五感を刺激し色香を感じさせる艶のある句ですね。